chacha子@読書

書評への愛、あるいは未知の知覚について

2022-01-01から1年間の記事一覧

恩田陸『日曜日は青い蜥蜴』読書感想文

恩田陸御大の贅沢な文化エッセイ。色とりどりの感性が文章全体に活きいきした脈動をもたらしている。印象に残るのは素直さとカルチャーに対する深い愛だ。また読みたい本が増えてしまった。来年出るというシリーズ三作目も楽しみ。

河合隼雄『こころの処方箋』読書感想文

河合隼雄先生は昔から敬愛している。この作品では多くの常識が書かれている。人の心の機微に通じた彼だからこそ書けるその常識の数々に、若者は関心を寄せ、年長者は納得するのだろう。河合隼雄先生の心の大きさがひしひしと感じられる良書である。

岩波文庫『老子』読書感想文

岩波文庫『老子』読了。道(タオ)という概念が繰り返し出てくるが、これは自然な流れのようなものなのだろうか。先に立つ者は自分を後にする、といった逆説は、しかしなるほどという実感を感じさせる。驕ってはいけないのは皆同じ。